【絵本レビュー】ごっこ遊びの豊かな描写 「なきごえバス」
「ごじょうしゃのかたは ないてくださーい」
さまざまな動物たちが「なきごえ」とともにバスに乗り込んでくる
だから「なきごえバス」。
第9回MOE絵本屋さん大賞2016「パパママ賞」第1位。
※以下、ネタばれ注意※
たくさんの鳴き声。
どんどん賑やかになる楽しい絵本。
でも私の琴線に触れたのは「なきごえ」ではなく、「バス」のほう
主人公のはるちゃんは、椅子1脚と大きなダンボールをバスに見立
いわゆる「運転手さんごっこ」を始めます。
ごっこ遊びなので、動物たちもはるちゃんの手持ちのおもちゃ。
大小さまざまなぬいぐるみに小さなフィギュア。
にわとりにいたってはなんと絵本の絵!(裏表紙をご覧ください)
それらが次々とダンボールに乗せられていく。
ページをめくるごとに
はるちゃんは「運転手さん」に
椅子とダンボールは「バス」になっていく・・・
これぞ、ごっこ遊びの真髄ですよね。
こどもにとっては今この瞬間、
おもちゃは生き物なのです。
椅子とダンボールはバスなのです。
目には見えずとも
そこには道があり
急な曲がり角があり
バス停があるんです。
その子どもらしい創造力、そして想像力が
柔らかなタッチで
とてもすてきに描かれています。
最後にお母さんに呼びかけられて
一気に現実(リアル)に戻される感じは
昔 子どもだった大人たちも少なからず共感できるのでは。
そんなわけで大人も繰り返し読んで楽しい絵本でした。
我が家では、勝手ながらに
主人公のはるちゃんを息子の名前に変えて
「つー坊とこぶたちゃんが…」
という感じで読ませて頂きました。
息子も大好きで
読み終わりたくないあまりに
最後のページをめくる前に先頭に戻ろうとします。やめてぇぇ(;^ω^)
というわけで、ごっこ遊びを豊かに描いた「なきごえバス」
おすすめです。
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